TsunaKamisawaのブログ

小説みたいなものを書きます。

花冠

昔ある国にひとりの王子様がいました。 この王子は大変聡明で心優しく、また武術にも優れたひとでしたが、ひとつだけ困った病を持っていました。 人々は「眠り病の王子様」と彼のことを呼びます。 子供の頃から王子にはどこでもいつでも寝てしまう、そういう…

石にあらず

「お腹にいるの」 「いるんよ。よくわからんけど」 実際よくわからなかったのでそう答えたが、佐藤くんは綺麗な黒目で私をじっと見て、「すごいなあ」と言った。 すごいのだろうか。しかし言われてみると、人体の中に人体ができるという事は確かにすごい事の…

石の女

村の外れには井戸があり、井戸の横には小さな家があった。 家には「於しな」という女が住んでいた。 於しなの父は村でも名の知れた医師で、この家は父の亡くなったのち於しなの物となった。 於しなは井戸の横のその家を良く手入れして暮らしていた。 女が井…

贈り物

昔昔、ある村落にそれは愛らしい少女がいた。 彼女は大きな農家の一人娘だった。 栗色の巻き髪に、薔薇色の頬をした心優しい娘である。 村人や、家の使用人たちは彼女の事を親しみを込めて「お嬢様」と読んでいた。 ある日、家に新しい使用人が雇われた。 そ…

オオサンショウウオの冒険

皆さんご存知でしょうが、京都には鴨川という大きな川が流れています。 そこには多種多様な生き物が住んでいて、オオサンショウウオ、というちょっと不気味だけれど愛嬌のある姿の者も暮らしているのです。 鴨川のある場所に、一匹のオオサンショウウオがお…

⑥(最終章)・⑦(エピローグ)

6. 翌日、エリザベートは僅かな近衛兵を連れてフォンセへ入国した。 ラストリア城はフォンセのほぼ中央に位置する。 魔弾を警戒して幾重にも魔術の盾を施したが、敵の気配は無かった。 一室に、父と母が居た。 王妃がにっこりとエリザベートに笑いかける。 …

アラン君の日記④

いきなり襲われてびっくりしたけど、姉さまの的確な指示で怪我人は少なかったみたいだ。 さすが姉さま! フォンセの王様が単身乗り込んでくるなんて、もうむちゃくちゃだけど、これが戦争ってものなのかもしれないね。 それにしても姉さまの軍神みたいな戦い…

5. 爆砕された城の上でエリザベートは吐血した。 傷ついた内臓を即座に回復魔法で修復し、次の攻撃に備えるが、相手はじっと立ったままだった。 「貴様!強襲とはいい度胸だ、かかって来い!」 血反吐を手の甲で拭い、エリザベートは愛刀を構え直した。 たっ…

アラン君の日記③

姉さまが風邪ひいたって聞いて、すごく心配したけど、すぐ治って元気な姉さまになってほんとよかった! 新しく来たハデハデな薬師のお兄さんは僕にも優しくて、薬草の名前を教えてくれたり、剣術の稽古でついたかすり傷もすぐ治してくれるんだよ。 外交だっ…

4. 「あいつは一体何をやってるんだッ!」 フォンセとディーツの国境、ミストラ城の一室に、ヒステリックな男の声が響いた。 「エリザベートは、私たちの身をなんだと思っているんだ!ディーツの要塞を一晩に三つも落とすだと!?我々まで殺す気か!!」 黒…

アラン君の日記②

姉さまは今日も大変お美しかった! 戦続きで、もう二度とドレス姿なんて見られないと思っていたのに……!我が姉ながら、なんてお可愛らしさなんだろう。 ふらぺちーの?っていう珍しい飲み物もすごく美味しかった。姉さまが考えたんだって!天才すぎる! 最近…

3. ーーーああ、あの子が起きてしまったわーーー……。 早く寝かしつけないとーーー。 夢の中で、優しい誰かの声が聞こえた気がする。 私は天蓋付きの寝台で身を起こし、欠伸しながら思い切り伸びをした。 昨晩、遅くまで紫の髪の魔女とやり取りしていたせいで…

アラン君の日記①

姉さまは今日もかっこよかった! 新しい魔法の軍装もすっごい可愛くて姉さまにとってもお似合いだった! 龍王のアードルング様を見事倒されるばかりか、ご友人にして帰って来られるなんて……やっぱり姉さまは人徳に溢れてらっしゃるよね! あと、急に男性だか…

2. 「ちょっと重いな」 エリザベート姫が普段から身に着けるという軍装を着てみたが、摩耗もあるのかしてあちこちの金具が軋み、胸当ては狙撃された時に砕けたという事で急ごしらえの物に取り替えられていた。 「今ならーーー」 何処から発生するのかは解ら…

自殺したら転生して激つよ魔法少女になった件 ①

自殺したら転生して激つよ魔法少女になった件 1. 横へ大きく避けたところに背後への爆破を連発されて、風圧に耐えきれずに空中へぶっ飛んだ。 ーーーああ、ス○バのキャラメルフラペチーノが飲みたい---エクストラホイップにチョコレートソースカスタムで……ー…

これは

「しょうもないラノベ書いてや笑」(原文ママ)という友人の提案が発端です。 友人Mちゃんが少しでも楽しんでくれるといいなとおもいます。